「柳田さんの声」2023.12.27 03:15柳田さんが眠りの中へ帰っていった。永劫続く眠りの中で、柳田さんの魂はどんな夢を見ているのだろう。残された私たちは、ただぼんやりと、大切な、とても大切だった「宝物」の消えていった彼方をあてどなく見あげている…。耳には、くりかえし柳田さんの声が聞こえている。二年前の秋。「糸桜 …黙阿...
感謝の詩2021.12.01 16:18感謝の詩ありがとう。二夜かぎりのお祭をのぞいてくれたあなた。暮れてゆく森の小さな社の小さなお祭。はるなつあきふゆ。よろこびといかりとかなしみとたのしみ。みんなそこにあった。こんな旅もわるくないとそう思えた姉さんたちの歌声。また冬が来るこの森のどこかで必ずまた歌うよ。夢のつづきを。...
2021.08.31 14:51長い長い旅。朝焼けも雨も夕霧も一人歩く夜にもなれた。人間はね、道端の骸もへっちゃらになるのだと、死んだ母が言っていた。そうかもしれない。でも見上げれば、星はかわらず指している。あの笛の聞こえる森の向こう。祭だって。歌うよ。おいで。踊るよ、今夜は。齋藤雅文
2021.05.17 14:23長い旅になった。森を迷い続けて歩く。シンパという懐かしい人々の血を引いているという一群れの旅。高い梢の間から月影が降りそそいでいる。笛を吹きな。歌を。踊りを…という声が聞こえる。ああ姉さん、そろそろお祭の稽古だね。そうかあ。いっそここで新しい祭りを創るのもいいか。そう思い始めた。...
2021.01.03 09:32雪になった。青い空から風花。この森はどこまで続くのだろう。キシキシ雪を踏み踏み歩く。恐怖も怒りも哀しみもキシキシ。発見も喜びも感謝もキシキシキシ。森の向こうから姉さんたちの歌声が聞こえる!新派の子を呼ぶ歌声が聞こえる!もう少し待っていて。必ず会いに行きますから。齋藤雅文
2020.10.15 16:08春。ぜんぶの小屋が閉鎖された。どんどんどん。ここを開けておくれよ!どんどんどん。もうわがままはいわないから!これじゃまるで家なき子だ。急に家のみんなが恋しくなった。ちっとも帰っちゃいないから。くやしいけど、やっぱりぼくは、新派の子か。齋藤雅文